来訪者きたる

土曜。今日は何の日か。世間的には連休２日目、だけど祝日でも祭日でもないふつーの日。
でも我が家には一大イベントの日。
午後過ぎ、やってくるのである。私の息子が。

今年１０才になった息子は、離婚した時にあちらの家に置いてきたのだが（取られたわけではない。円満離婚で、育ててもらうにはあちらがいい環境だから、頼んできたのである）、時々遊びに来るのだ。

引っ越してからは初めての来訪。家を気にいってくれるといいのだが。ま、むこうの家も古いし、そんなに変わらないか。

はしゃいでいるのは私の今の連れ合い。
この人は、息子が２才くらいの時からよく知っているので、お互い友達みたいに思っているところがあって、それは息子も同様のようだ。間違っても、義理の親とは思っていない。呼び捨てだし。
午前中に、昨日心に決めた「エキサイト・ピンポン」を買ってきた連れ合いは、シンゴが来るまでにうまくなろうと、練習に励んでいる。なんだか見てるといいダイエットになりそうだ。

部屋の掃除もあらかた済ませて、ベッドメイキングもして、駅前まで迎えにいった。

やぁやってきました。予定より３０分遅れで。
元の連れ合いは、子供の面倒はよくみるが自分の面倒はほとんど構わない人で、前歯に虫歯をこさえていた。
じゃあ明日まで預かるね、といって駅でわかれた後、息子を散髪をさせ、だいぶ窮屈そうな靴を買い替え、
「でもね、服は昨日買ったんだよ、ズボンも。パンツと靴下も」
ニッとリスのような歯を見せて笑う。こっちには虫歯ナシ。よしよし。

連れ合いはシンゴを羽交い締めにしながら、遊ぼう遊ぼうとせっかちに言う。
晩ご飯が出来るまで、ふたりでエキサイトピンポンで文字通りエキサイト！
びっしょり汗をかくまで熱中している様子は小学生同士のようである。お風呂に入るのも二人一緒、まったく仲のいいことで、親である私が少しつまらない。友達同士にはかなわない感じ。

食事が出来て三人で食卓を囲む。この子は珍しく、ニンジンやピーマンが大好きな子で、それは私の子供の頃と同じだ。私の作ったニンジンのグラッセをぺろりと全部食べてしまう。ガリガリに細い身体のどこに入るのかと思うほど、たっぷりのごはんもあっという間にたいらげた。
「ぼくさあ、食べても太らないんだよ」
油断してはいけませんぞ。もっとも、両親とも、そういう体質だけどね。

食事が済んだら、またもやピンポン。元気である。ふたりとも…。

そうしてシンゴ来訪第一日目は過ぎていくのであった。